うつ病とは

うつ病

うつ病は、気分障害と分類される病のひとつです。仕事やその他生活上の何らかのストレスによって体や心の調子を崩し、普段の活動が著しく困難な状態になると、うつ病の可能性が考えられます。明確なストレスがなくとも、ものごとの考え方や体質、遺伝的な要因などによっても発症する可能性があります。日本では約10人に1人の割合で罹患するといわれており、かなり身近な病です。
うつ病はよく「怠けているだけ」「やる気がないだけ」などと言われがちで、周囲の理解を得られにくい側面があります。しかし、最近の研究ではストレスによる脳の神経伝達物質の減少、つまり“ホルモンバランスの乱れ”によって引き起こされることが明らかにされつつあります。このホルモンバランスの乱れによって、心身にさまざまな症状が表れると示唆されています。

よくみられる症状

気持ちの変化

  • 気分が落ち込む
  • やる気が出ない
  • 何をしても楽しいと思えない
  • イライラする
  • 好きなことにも興味が持てない
  • 焦っている
  • 迷惑ばかりかけている気がする
  • 死にたい・消えたい

行動の変化

  • 朝起きられない
  • 遅刻・欠勤・早退が増える
  • 仕事のミスが増える
  • 物忘れが増える
  • 集中力の低下
  • 生活リズムの乱れ
  • 怒りっぽい
  • 対人関係の孤立
  • 協調性の低下
  • アルコールやギャンブル・買い物などへの依存

身体面の変化

  • 食欲が湧かない
  • 眠れない(睡眠のトラブル)
  • 体がだるい・重い
  • 頭痛や腹痛などの痛み
  • のどが詰まったようになる
  • めまい
  • 吐き気
  • 下痢
  • 発熱

上記のような症状が2週間程度継続していると、うつ病の可能性があると考えられます。さらに、上記のような症状が以前はなかったのに、生じているという「変化」であることがとても重要です。どんな病気もそうですが、うつ病も例にもれず“早期発見、早期治療”がとても大切です。自分の、あるいは身近な人のこのような変化へ素早く気づけるようにしておきましょう。

治療について

うつ病の治療において大切なことは、まずは十分な休養をとることです。しっかり十分に休養できる環境を整えることは、治療の第一歩です。休み始めのうちは、そうはいっても仕事などのことを考えたり自分の不甲斐なさに打ちひしがれたりして、あるいは家族への負い目などから家事を積極的に引き受けたりしてしまい、なかなか気が休まらないかもしれません。しかし、この時期には無理に何かをするよりも、できることだけに留めておいた方が結果的に早く癒えていくといわれています。また、うつ病は“完全に治る”ことを目指すのではなく、“寛解”を目指していきます。“寛解”とは、通院や服薬などの治療はまだ続いているものの、症状はしばらくみられず落ち着いている状態のことです。この落ち着いている状態のときに、いかにしてふだんの日常的な活動を取り戻していくかが大切です。休養や服薬などによってふだんと変わらない生活を取り戻し継続していくうちに、結果としてうつ病が再燃・再発しない状態を獲得できた=“治った!”、という流れが一般的といえます。

薬物療法について

うつ病は、ホルモンバランスの乱れが生じる病です。その治療において十分な休養はとても大切ですが、休養と併せて薬物療法によってもホルモンバランスを整えていくことがとても重要です。うつ病における薬物療法では、多くは抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA 等)が用いられます。うつ病にかかわっているホルモン、つまり神経伝達物質としては、まだ完全に特定されたわけではありませんが、「ノルアドレナリン」や「セロトニン」「ドーパミン」がかかわっているそうです。中でも特に、セロトニンの分泌は精神を安定させる働きをするほか、ノルアドレナリンの分泌は意欲や集中力等を高める働きがあります。薬物療法は、こういった体の作用を整えることを通して、症状を和らげることが目的といえます。

※薬物治療は、「飲み始めたら一生飲み続けないといけない」とか、「そんなに重症じゃないから飲んでも意味がない」とか、「副作用が強そう」などといった印象が付きやすく、それゆえに抵抗感や不安感をもたれがちです。しかし、薬物療法の主たる役割はあくまで基盤となる体調を整える“補助輪”です。体調が整った上で、症状が再燃しないよう生活の中でいかに主体的に工夫できるかが重要です。症状の有無を適切に医師へ伝えることや、症状消失のために何をどう工夫したらよいかなど、主治医の先生へ相談しましょう。

薬物療法以外の治療について

薬物療法以外の治療法としては、精神療法、心理療法がよく知られているものです。その中でもよく行われるのが認知行動療法といったもので、これらは自らの考えや行動を見直していくことで、偏った思考などに気づき、修正していくことでストレスを和らげていくという方法です。服薬だけではまかなえない心理的な部分は、心理療法を並行することが効果的です。当院では、うつ病と診断された方を対象に、月2回集団認知行動療法を実施しています。詳しくは「集団心理療法」のページをご覧いただき、院長へご相談ください。